Sweet good night



 兄公? おぉーい、兄公? 起きてるー?
 えーい、キスしちゃうよーん――あ。なーんだ、起きてるんじゃない。あははっ、顔真っ赤にしちゃって♥ アタシの前で狸寝入りなんて、百年早いって。
 ね、良かったら少し話さない? 何か、眠れなくてさ。って言うか、折角泊まったんだから、健康的に早寝なんて許さないし詰まんないっての。
 だから、お話タイム決定。オーケイ? ……んもぉ、そんな事ないわよ。良いから、アタシに任せて置きなさいって。
 え? ううん、こっちの話。これからするのは、アタシと兄公のお話だから、気にしなくて良いって。
 ……えーっと、何の話だっけ? って、まだ何も話してないのよねぇ。ごちゃごちゃ言ってたら、何が何だかわかんなくなっちゃった。アタシったら、少しハイになってるみたいねぇ――だって、兄公とこうして枕並べて寝るなんて、久し振りも久し振りだもの。テンションが上がっちゃっても、無理ないって♥
 うん、本当に、久し振り。だって、こんなの子供の時以来だから。
 男の子も女の子もなくて、一日中遊んで、遊び疲れたら一緒に眠って――今よりもずっと近くで、一緒のベッドで枕並べて寝てたわよね。
 あの頃は、こんな風に別々のベッドで眠る事なんて考えた事もなかったわ。物心付いてから、ずっと兄公と一緒に寝てたから――まあ、そんな事はなかったんだろうけど、あの頃、誰かと寝てる記憶って、兄公とのしか憶えてないのよね。
 ねぇ、この意味、わかる? わかってない?
 ……もぅ、自分の気持ちって、自分でも解らないものね。ううん、こっちの話。兄公の事もだけど、兄公の事だけじゃないからさ。
 あのね、兄公。アタシ、今の状況もそこそこに楽しめてるのよ。だって、一緒に眠れなくなった今だからこそ、一緒に眠れていたあの頃が、どんなに大切だったかって実感出来るから。
 兄公にとって、あの頃、アタシと一緒に眠っていられた事は、大切に思える? 取り戻せるなら、取り戻したいと思う?
 もし、取り戻したいなら、あの日の思いを大切に思ってるなら……そのままは、取り戻せないかもしれないけれど……必ず、言ってね。
 あの頃と同じくらい――ううん、それ以上に、大切で、幸せな事を、アタシが作るから。
 まずは手始めに、明日のデートを楽しも? 目一杯、心の底から、三人で、ね♥
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