明日やるもん



 今日は日曜日で、どこか遊びに行こうかな、って思ってたんだけど――何だか、どんよりした天気で、雨も降りそうだったから、こみはずっとお家にいる事にしました。
 でも、こみの気持ちも何だかどんよりしちゃったみたいで……ベッドの上で、ずぅっと、ずぅっと、寝転がってたの。
 だって、だって――何でなのかなぁ? こみにも、よくわかんな……

「蹊ちゃん、いつまで寝てるのぉっ!」

 わぁっ!? ってビックリして目を覚ましたら――梨愛ちゃんがいたの。
「えへへぇっ、ビックリしたぁ?」
「ビックリしたよぉ……もう、心臓爆発だよ……」
 もう、ママが怒って来たのかと思っちゃった。でも、どうして梨愛ちゃんがこみの家にいるの?
「あのねぇ、リウ、遊びにきたのぉ。でもぉ、蹊ちゃんのお母さんが『呼んでも返事がないから、勝手に上がっちゃって』って言ってくれたのぉ」
 そうなんだ。こみ、全然気付かなかった……本当に、ちょっと寝ちゃってたのかな?
「そっかぁ。ごめんね、梨愛ちゃん。それから、いらっしゃい」
「うん。こんにちはぁ、蹊ちゃん」
 一緒に頭を下げてアイサツして、それから梨愛ちゃんは、こみの部屋をぐるっと見渡したの。
「ねぇ、蹊ちゃん。蹊ちゃんのお部屋、すっごいちらかってるねぇ」
「う、うん……わかってる」
 あーあ、梨愛ちゃんにまで言われちゃった。
 そうですっ、こみのお部屋はすっごいちらかってますっ!
 って、怒ったみたいに言っても仕方ないんだけど……実は、昨日、ママにも言われちゃったんだよね。
 もちろん、こみにもわかってるんだよ? 服も脱ぎっぱなしで、マンガも出しっぱなしで、ベッドの布団もぐちゃぐちゃで……
 でも、何だかずぅーっと先延ばしにしちゃって……もう、このままでも良いかなって思っちゃったりもして。
「ねぇ、お片づけしないのぉ?」
「明日やるもん」
 こみ、ベッドの上でごろんって転がって、ばふんって頭から布団をかぶっちゃった。
「こみは今日、のんびりするの」
「蹊ちゃん、ズボンが落ちてるよぉ?」
「明日片付けるもん」
「蹊ちゃん、ペットボトルとお菓子の袋がそのまんまだよぉ?」
「明日捨てるもん」
「蹊ちゃん、机の上に、やってない宿題のプリントがあるよぉ?」
「明日やるもん」
「それはちょっと、まにあわないかもぉ……」
「いーのっ! もー、全部全部明日やるの!」
 こみ、思わず大声出しちゃって――布団もポイってやっちゃって――梨愛ちゃんがビックリした顔で――
「……ごめんね」
 ベッドの上で体育座りして謝ったこみの隣に、梨愛ちゃんがピョン、って座りました。
「蹊ちゃん」
「こみね、何だかどんよりしてるの」
「どんより?」
「あのね、たぶん、お部屋のことを考えてると、どんよりするの。いろんなこと、明日にやろうって考えて、でもそんなの大変で、そしたら明日の明日、って――ずっと、ずぅーっとこのままなのかなって」
「そっかぁ」
「あーん! こみ、どーしたらいいのー!?」
 もう、頭がごちゃごちゃしてわかんないよ――
 そんなこみに、梨愛ちゃんが言いました。 「ねぇ、蹊ちゃん。あのねぇ、蹊ちゃんが今、ズボンをお片づけしたら、明日やらなくていいんだよぉ?」
「……え?」
「ねぇねぇ、ほらほらぁ」
 梨愛ちゃんに手を引っ張られて、こみはズボンの近くに行きました。ズボンを拾って、お部屋を出て、お洗濯カゴの中に入れました。
「終わっちゃった……」
「ねぇ、蹊ちゃん」
 梨愛ちゃんはにっこり笑って言いました。
「今からペットボトルとお菓子の袋を捨てたら、明日捨てなくてもいいんだよぉ?」
 こみと梨愛ちゃんはお部屋に戻って、ペットボトルとお菓子の袋を片付けました。
「ねぇ、蹊ちゃん。今から宿題をやって、マンガをしまって、お布団をキレイキレイにすれば、明日やらなくてすむんだよぉ?」
「もういい加減気付いてるけど、ここまで来たら一気呵成だよ!」
 こみは梨愛ちゃんと協力して、宿題をやって、マンガをしまって、お布団をキレイにしました。
「やったー!」
「やったぁ!」
 すっかりキレイになったお部屋の真ん中で、こみと梨愛ちゃんはバンザイをしちゃいました。
「これでもう、こみに何も失うものは何もないよ! 溢れ出してくエナジー!」
「熱く強くたくましく、たとえ光のない世界でもぉ!」
「声を感じて、あなただけ見つけられるね!」
「ちょっと違うかもしれないけどねぇ」
 それからこみと梨愛ちゃんは、二人でいろんなことをしました。
 やっぱり、お部屋がキレイだと、気分もハレヤカ!
 ほにーちゃんも、お部屋をちらかしたまんまにしちゃ、ダメだよ?


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