第10話『責任者はかく語りき』



 二人は互いを見つめながら、近付いていきました。
 イモ太郎は己の足で、鬼の大将は白鬼に車椅子を押されて。
 ちなみに白鬼は、北の塔から車椅子を必死に押してきて、疲労困憊でした。
 キジと黒鬼が変身をとくと、イモ太郎と鬼の大将はリングにあがりました。
 白鬼は車椅子をリングに持ち上げた時点でぶっ倒れました。
楓「いずちゃん……」
いずみ「楓ちゃん……」
 しばらくの沈黙の後。
楓「ただいまっ」
いずみ「お帰りなさい」
美虎音・湊『はあああ!?』
 思わず某アメフト漫画のザコキャラのような声を出してしまった犬とキジをおいて、イモ太郎と大将は和気藹々とトークを始めました。
いずみ「もう、どこに行ってたの? しんぱいしたよ?」
楓「えへへ、ごめんねぇ。でも、またいずちゃんと会えてよかったぁ」
 仲良しこよしの二人に呆然とする犬とキジの後ろで、鬼たちがぞろぞろと歩いていきます。
瑠巳佳「あーあ、もうおしまいかー」
弥水「できればぁ、さっきの戦いはもうちょっと見たかったねぇ」
梨愛「リウは、黒鬼ちゃんが使ってたベルトがほしいー」
巴「今度つくったるわ」
苺「いちごちゃんもほしいのだー!」
璃璃夢「あー、おなかいっぱい」
聖羅「ど、どうなっちゃったの、あのお猿さん」
彗「あそこに転がっている」
翠彩「たましいがとられたら、どんな感じになるのかな。いたいのかな?」
彩音「吸われてみたら?」
桜仔「あ、あの、やめておいたほうが……」
鏡子「それが賢明よ」
成慕「でも、楓ちゃんが帰ってきてよかったね」
杏奈「そうよね。楓ちゃんがいないと、ボスが機嫌悪くて大変だったから」
紗夜「私と空鬼さんと浅黄鬼さんで、タイに行かされましたし…」
焔「そういえば、あれ、どうなったの?」
花雪「ボスの命令でパイナップルを海に捨てようとしたら、現地の人に『ヤメーテクダサーイ』って言われちゃって」
麗音「そ、それはそうですよ…」
詩帆「そしたら、たっくさんバナナくれたの」
将来「あー、倉庫にあったたくさんのバナナは、そのときもらったんだ」
若菜「じゃあ、あとでみんなで食べよ」
錺「賛成ですっ」
 などなど……
湊「どういう……」
美虎音「ことなの?」
冬季子「それはね」
水流「楓さまは、もともとこの島にいたのよ」
美虎音・湊『え?』
冬季子「1週間ほど前、あの方は巨大焼き芋を食べていて」
水流「いつのまにか、焼き芋ごと島の外に転がっていってしまったらしいの」
湊「そして楓ちゃんは、島に戻ろうとしていたんですね」
美虎音「でも、どうして記憶をなくしていたの?」
「それ、私のせい」
 4人の後ろには、つまらなそうな顔の玻璃鬼が立っていました。
水流「そういえば、あの芋はあなたが用意したものでしたね。どういうこと?」
聖「あの焼き芋、一時的に記憶を混乱させる副作用のある失敗作だったらしいの」
水流「……どうしてすぐに言わなかったのですか?」
聖「聞かれなかったから」
冬季子「…………」
聖「部屋に戻るわ」
 そういって彼女は、スタスタと城へ戻っていきました。
湊「――そういうこと」
美虎音「なの」
水流「みたいですね」
冬季子「はぁ……あの子には、あとでちゃんと言っておくさ」
湊「ですが、私たちがここに来たのは、全くのムダではなかったのでしょうか」
水流「おそらく。楓さまだけでは、ここまで来れたかどうか……」
美虎音「なら、よかったの」
冬季子「悪ふざけにつきあわせた侘びに、ご馳走でもするさ……ん?」
 黒鬼は何かの気配を感じ、巨大な鉄扉に視線を向けました。
湊「あ、あれは……」
美虎音「×印なの?」
 次の瞬間、『Χ』の形に切りつけられた鉄扉は崩れ落ち、向こうから人影が飛び出してきました。
菊依「助けに来ましたよ、楓ちゃあああああああああああああああん!!」
 それは、キクエギアで装備したおばあさんでした。
菊依「ああ!? 私の可愛い楓ちゃんが、鬼の大将に抱きついて……ムキィィィィ! ぶふぉ!」
梓弓「おばあさん、鼻血が出てます!」
菊依「もはや一刻の猶予もなりません! キクエブレイガン、READY!」
梓弓「ああ、待ってください、落ち着いてください!」
 土煙を巻き起こしながら走ってくるおばあさんに、4人は溜め息をつき。
水流「とりあえず」
湊「食事はあの人を何とかしてからですね」
冬季子「そうなるさ」
美虎音「大変そうなの」
 頷いて。
 4人はリングを飛び降りました。

海羽「あ……お……」
忍「拙者たち……どう、なる……です、か………」
愛乃「分かんない……です……」



 fin.
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